IT技術について調べるとき、昔は本屋に行っていた。
技術書のコーナーに立って、背表紙を眺めながら「これかな」と手に取る。索引を引いて、付箋を貼って、手元に置いておく。あの感覚はまだ覚えている。
そのうちGoogleで調べるようになった。本屋に行かなくなった。誰かのブログや公式ドキュメントにたどり着いて、コピペして、動いたらブラウザを閉じる。
そして今は、AIに聞いている。
正確には「聞く」というより「一緒に作業している」に近い。
先日、別のブログサイトのGoogle Analyticsの設定を見直したくなった。Google Search ConsoleのスクリーンショットをClaude Codeのチャットに貼り付けたら、SEO的な状況を分析してくれて、設定ファイルを書き換えて、GitHubにpushして、Vercelにデプロイするところまでやってくれた。自分はチャットを眺めていただけだ。
これはもう「調べる」ではない。
そのやりとりの中で、「最近ブログに書くことがなくて」という話になった。
記事数は少ない。更新頻度も低い。Search Consoleを見れば3か月で5クリック。「まあ放置かな」という気持ちになっていた。
するとこんな問いが返ってきた。
「そのやりとり自体がブログ記事になりませんか?」
言われてみれば確かに。本屋で調べていた人間が、AIとチャットしながらSEO対策してデプロイまでしてもらって、その会話の中で「書くことがない」と言っている。この構造がそのままオチになっている。
テックブログの存在意義は変わってきたと思う。
「誰かが調べるから書く」という前提が崩れつつある。AIに聞けば早い、という時代に、ブログ記事の役割は何なのか。
たぶん「体験の記録」だと思っている。誰かに読まれるためではなく、自分がその時何に詰まって、どう解決したかを残しておく場所。検索エンジン向けに最適化された情報ではなく、その人がその瞬間に感じたことが書いてあるもの。
AIにはまだそれはできない、たぶん。